今年度歴史講座第4弾を、標記のテーマで12月6日(土)10時より当館講堂・学習室で開催しました。講師は福大歴史学科2年・吉田煌さん。参加者に、実際に古代の作り方で、「うどん」を作ってもらおう、と事前に当館で準備を重ねて頂きました。「うどん」と言っていますが、これは、お知らせの段階で、「イメージしやすい」表現という事で、当館が表記したもので、実は、『水引餅(すいいんべい)』と呼ばれるもので、文字通り「水を付けて引き延ばす餅(べい)」のこと。「餅(べい)』とは、日本のお餅のようにもち米を蒸してついたものではなく、『穀物の粉をこねて固形にし、加熱したもの』を意味し、小麦粉をこねて作ったパンやまんじゅう、うどんも「餅(べい)」になります。
530~550年頃に書かれた、中国・南北朝時代の農業技術書『斉民要術』という本に「水引餅(すいいんべい)」という麺の作り方が書かれているそうです。その作り方の記述を現代語訳すれば
『(前略)細かな絹のふるいにかけた小麦粉を用意する。味を調えた肉のスープを冷やした後、小麦粉と混ぜる。「みずもみ」を作るには、これをもんで、箸ほどの太さにし、一尺ごとに切断する。盆の中に水をはってこれを浸す。鍋の上で、手もみしながらニラの葉程度に薄くすると良い。湯が沸いてきたらそのまま煮る。真っ白で光沢があって可愛らしいだけでなく、滑らかで柔らかく、そのおいしさは格別である』と。
「水引餅」は、道具を使わず手でのばしていくもので、この技術は、やがて「手延べラーメン」や「そうめん」に進化しました。
『福岡とうどん』の豆知識‼ 1241年、中国「宋」から帰国した臨済宗の僧「円爾(えんに)【聖一国師】」が、日本で最初にうどん・蕎麦・饅頭・羊羹の作り方を博多に伝えたとのこと。「聖一国師」が開山した博多・承天寺には「御饅頭所(おんまんじゅうどころ)」「饂飩蕎麦発祥之地(うどんそばはっしょうのち)」の石碑がありますよ。
吉田さんによる座学を終えると、皆さんは学習室での調理実習 に挑戦です。この調理についても、吉田さんの指導です。公民館スタッフや福大の大重先生、福大生・村上さんが音を沸かしたり、スープづくりのお手伝いの後は、参加者の実践あるのみ。小麦粉をこねて、寝かせる時間は、4~8時間必要とのことで、吉田さんが昨晩から、寝かせておいたものを当日の調理に活用させて頂きまして、参加者の皆さんが当日こねて作ったものは、各ご家庭で夕飯にでもと、持って帰ってもらいました。
丸めたり、薄くのばしたりして出来上がった「麺(?)」をゆでて、スープに入れてご自分の麵を試食、満面笑顔でした。
【参加者のアンケートより・・・一部抜粋】
●吉田さんをはじめ、準備して下さった皆様に感謝です。歴史を感じながら、水引餅をとてもおいしくいただきました。とても楽しい講座でした。ありがとうございました。
●思ったより楽しかったです。手間はかかるけど意外と簡単で、良いきっかけになったかも!小麦:塩水 1:1ですね!家でもやってみようと思いました。吉田さんがんばー‼
●水引餅を初めて作りました。聞いた事も無い名前でしたが、うどんの様な物で、作り方の説明も良く分かり、おいしく頂きました。準備が大変だった事と思います。ありがとうございました。帰って自宅で作ろうと思いました。
●初めての体験でしたー‼楽しいひとときをありがとうございます。うどんも美味しかったですよ‼家に帰ってまた作られる・・・楽しみです。
●これまで料理をした事がない私にとって、初めての手料理。楽しく、味もまあまあで、よい体験をさせて頂きました。ありがとうございました。
●自分で料理する事もないので楽しめました。今後は時間も出来ましたので、色々な料理を自分で作ってみます。ありがとうございました。
●"古代うどん”について吉田さんが、中国から渡ってきた、その歴史からわかりやすくお話し下さり、とても良かったです!作り方もがんばって作るというより、ねんど遊びのようにワクワクしながら楽しく出来ました。そしてその味‼ツルッと本当においしい♡こんなうどんを古代の人も食べていたというのがおどろきで、興味深かったです。