2025年11月21日金曜日

柏原公民館人権講座『柏原公民館から世界の窓へ~異国の幼い友人たち~』

 11月20日(木)10時より、当館講堂にて、標記の人権講座を開催しました。今回は、世界の、とりわけカンボジア、ミャンマーの子どもたちの「くらしといのち」について、国内政変等による諸問題についても学びながら、皆さんと考える機会と位置付けて開催しました。講師は、『NPO・次世代のチカラFUKUOKA」理事長・新村まさるさんです。

冒頭、参加者の皆さんに目をつぶってもらい、「朝起きたら、きれいな水で洗顔し、朝食が用意され、学校に通い、帰宅してからは、夕食が用意され、入浴ができます。そして、翌日も同じように生活ができます。何より、家族と一緒に暮らせる毎日があります(主旨)」という内容の日本の一般的な子どもたちのくらしぶりについてお話しをしてもらいました。このことを本日の講座の導入として、両国の実情を学び、参加者の皆さんに考えて頂くという趣向でした。

新村さんが「NPO」を2013年に発足したのは、「子どもたちが、将来、自立して活躍できるように支援をする。そのために何ができるのか事業を具体的に組み立てる」という目的から。また、タイ・バンコクを訪問した際に、林立する高層ビル群の下には、「大都市化」とは真逆の「スラム街」が、更にそこでは、子どもたちの世界にも「酒・薬物・犯罪」の温床が蔓延の実態。このような実体験から、国外の子ども達の支援に取りくみ始めたとのことでした。また、カンボジアやミャンマーでは、政変等によって、国民の困窮化が課題で、多くの孤児を産みました。各地に孤児院が作られましたが、殆どが「男の子」だそうです。「女の子」は人身売買の対象だとか。

福岡の子ども達に、国外の子ども達の「くらしといのち」を実感してもらうため、「親子で行く修学旅行」と銘打って、タイ・ベトナム・カンボジア・台湾そしてミャンマーへと現場体験を重ねていきました。

カンボジア・ミャンマー両国と交流を継続していくなか、2021年2月1日、ミャンマーで軍隊による「クーデター」が勃発しました。これは、アウンサン・スー・チー氏のもとで、『議会の構成の4割は軍隊からとなっていたものを、同年3月施行予定の国会議員選挙では「ゼロ」にする』ことになっていましたが、それを恐れた軍隊の「クーデター」といわれています。

子ども達の毎日は、益々、困窮を深めていきました。そこで「子ども達の笑顔」に貢献できるならと、「ミャンマーエール展」を、日本国内で開催しました。主な会場としては、「東京浅草本願寺」「福岡市役所1Fホール」「福岡赤十字病院」など。内容は、ミャンマーの孤児院の子ども達に「将来の夢」を「絵」にしてもらい、それを前述の会場に展示して市民に閲覧して、こども達の想いを伝える事。また、世界を襲った「コロナ禍」の真っ只中、両国の孤児院の子ども達の支援の一つとして、カンボジアの「クロス」、ミャンマーの「ロンジー」という綿100%の生地を使って、マスクを作って、福岡で販売し、利益は両国の関係団体に贈ることに。そのため、ミシンを両国に12台送り、縫製作業に賃金を支払うことも決めたそうです。カンボジア製とミャンマー製を1枚ずつセットにして、各11000枚作るという販売計画を策定。ところが、カンボジアからは製品が到着するも、ミャンマーからの分は、クーデターのため、軍政よりストップがかかり暗礁に。そこで「恐怖政治」の軍政下にもかかわらず、二人の女性が命がけで「嘆願書」を出したところ、何とか許可が出されたそうで、福岡では、販売網を数多く持つ「新生堂薬局」の販売の協力で、8000セット以上を売り上げ、支援ができたとのことです。

ミャンマーでは、政府軍と反政府軍との戦乱が続き、今年の大地震の際も、救助活動は遅々として進まず、外国からの支援物資等も窃盗団に略奪されたり、襲われたり、しかも路上には夥しい数の死骸が散乱とか。半年前には、「スーチー女史」の解放のうわさがあったものの、まだ軟禁状態のままとか。軍隊による圧政のもとではありますが、圧倒的な国民から「総選挙」の実施を求める声があり、民主化を求める国民の声は、日増しに高まっているようです。

多くの方に参加頂き、熱心に講師の話に耳を傾けて頂きました。







【参加者のアンケートより・・・一部抜粋】

【50代のみなさん】

●人を「もの」として扱っていることに驚きました。世界の情勢をもっと知るべきと思いました。

●カンボジアやミャンマーの子どもの現状を知ることが出来ました。

●孤児院の事を知れて良かったです。自分で出来る支援を考える機会になりました。

●困っている人に直接支援が届くシステムが必要だと思いました。

●NPOの活動が勉強になりました。孤児院の子ども達の笑顔が素敵でした。

●知らない世界を教えて頂き、ありがとうございました。

●貧困の子ども達に想いを馳せる時間となりました。ミャンマーの民主化を祈ります。

●淀みなく話されて、凄いと思いました。聞き取りやすくて勉強になりました。

【60代以上のみなさん】

●貴重なお話、ありがとうございます。何か支援を考えたいと思います。

●当たり前の生活に感謝です。世界の子ども達が幸せになりますように。

●テレビのニュースは中国、アメリカばかり。東南アジア諸国の事をもっと報道して欲しいです。

●新村氏の活動に感心しました。自分も何か行動したいです。

●素晴らしい活動をされて感銘を受けました。

●東南アジア諸国支援の活動をしている優君に感謝します。

●新村氏のお話を聞いて感激して泣いてしまいました。良い仕事をされていますね。感謝です。

●暗い世の中ですが、お話を聞いてあきらめないという事が大事だと思いました。

●これほどの活動をされている方がいると聞いて驚きました。

●日本人の意識の低さが心配です。知ることが大事ですね。館長さんの最後の挨拶も素晴らしかったです。

●遠い国と思っていましたが、お話を聞いて身近に感じました。

●支援が物資だけではなく、大人への教育も大事な支援だと思いました。

●末永く、活動を続けられますように。