12月7日(土)10時より、当館講堂にて標記のテーマで、寺子屋かしはらの講座を開催しました。久々の青木先生の登場とあって、60名を超す参加者でスピーディーでなおかつ熱い「青木節」を堪能しました。
ヨーロッパ美術のもとになるのは、キリスト教・ギリシャ文化だとのこと。古代ギリシアの神・ゼウスは「雨の神」に比して、日本・アジアは「太陽」が神として崇められていたとか。ヨーロッパでは、人間ではなく「神」を讃える文化の時代が4世紀から14,5世紀まで続き、その後「人間を中心とする文化・ルネサンス(人間復興・文芸復興)の時代へ移っていきます。
以来、写実主義、自然主義、印象派、表現主義の作品が席巻し、また、立方体で表現するキュービズム、これまでの表現を根底から否定する「ダダイズム」が登場したそうです。因みに、円谷英二氏作品「ウルトラマン」に登場する怪獣『ダダ』は、これに由来するそうです。
19世紀後半、「光と影の主観的表現によって描く対象を再構成」するという『印象派』が登場し、マネ、モネ、ドガ、ルノワールがその代表とされ、『後期印象派』ではゴーギャン、セザンヌ、ゴッホが代表とされ、とりわけゴッホは、日本の浮世絵に大きく影響をうけたそうです。当時、日本から輸出されていた古伊万里等の陶磁器を包む紙に、浮世絵が使われたとのことで、その包み紙を見て、ヨーロッパの人々は「浮世絵」に感嘆したそうです。また、「近代彫刻の確立者」と言われるロダンも登場し、「考える人」や、百年戦争に苦しむ市民を描いた「カレーの市民」が製作されました。
1919年、ドイツ・ワイマール共和政期に設立された、工芸・写真・デザインなどを含む美術と建築に関する総合的な教育を行った学校「バウハウス」は、無駄な装飾を排して合理性を追求する「モダニズム」の源流となった教育機関で、現代社会の「モダン」な製品デザインの基礎を作り上げたとされ、「建築の家」を意味するそうです。東京・上野美術館はその延長線上に建築されたとも。
福岡市美術館でもなかなか貴重な作品が展示されているそうです。例えば、アンディ・ウォーフォルの「マリリンモンロー」、プレスリーの肖像のデザイン、キース・ヘリングのTシャツなどがありますので、皆さん、一度お出かけしてはいかが‼ また、福岡市中央区舞鶴「あいれふ」の敷地にも、キース・ヘリング氏や草間彌生さんの作品のレプリカ(?)が展示されています。
青木先生によるお話は、時系列に整理された「ヨーロッパ美術の世界」を、わかりやすい言葉で、時にはそれぞれの作品にまつわるエピソードを交え、ユーモアたっぷりの話術で、あっという間に講座を終え、楽しくもためになる勉強の時間となりました。
【参加者の感想より・・・一部抜粋】
●絵画は以前より興味があり、参加させていただきました。カリスマ講師でいらっしゃるとお聞きしていましたが、素晴らしい‼ あっという間の時間で有意義でした。絵画の裏のお話など、参加しないと得られない情報も沢山ありました。地元でこんな講演があり、感謝です。お水も飲まず青木先生お疲れさまでした。楽しかったです。
●青木先生の造詣の深さ、今まで目にした絵画の背景もよくわかりました。偉大なる人の条件、眼力・記憶力 青木先生ですね。次回のお話、心より楽しみにしています‼
●とても楽しい、夢のような時間を過ごさせていただきました。各々の絵画を見るたびに、旅の記憶がよみがえり、その時の絵画を含む風景、時間をなつかしむことができました。Storyとhistoryのお話しにも感心させられました。意味がなければ覚えられないんですね。
●私は美術にあまり詳しくありませんが、青木先生にお話をお聞きして、世界の情勢を美術を通して分かち合って下さり、とても感動いたしました。次々とお話しくださる青木先生の知識に、凄い‼ 私たち柏原地域の誇り‼です。私は若い時から世界の中でもイタリアの歴史にあこがれていました。特にイエス様のお話。これからイタリアへ行きたいです。ありがとうございました。
●歴史をからめて、美術の話を聞くことができて、とても興味深かったです。バンクシーのガザ地区での活動に関しては無知で、もっと詳しく知りたいと思いました。戦争が美術を破壊したと、ドイツの美術館のお話にありました。ずっと戦争のニュースを見ていて、自分の心がマヒしているところにズドンと刺さるものがありました。知り続けることが大切だと思いました。大変面白かったです。ありがとうございました‼ 追伸 受験生の時に先生の講義を聞いて、嫌いだった世界史が広がりをもって、そこにあるものとしてとらえられました。おかげさまで、大学も合格できました。感謝です。開講またよろしくお願いいたします。
●古代ギリシャから現代まで楽しく、ユーモアをまじえ、わかりやすく絵の勉強ができました。ありがとうございました。久しく行っていない市美術館へ行ってみたいと思います。
●先生の講義はいつ聞いても何を聞いても、その内容の深さにいつも驚かされます。毎週月曜日のKBCラジオの放送をいつも楽しみに、のがさず聞いています。どうぞいつまでもお元気に、私たちを楽しませてくださいませ。本日はありがとうございました。
●西洋の絵が日本の絵の影響を強く受けているのだなと知って、誇らしかったです。絵が好きな息子が今日のテーマを聞いて来たがってけど、学校の行事と重なって残念がっていたが、ダダのところやピカソの話、ナイキの話は喜んだろうなと思いました。ストーリーを話してあげようと思いました。イタリアに私も新婚旅行で言ったけど、芸術はやはり、実際に間近で見るべきだと思います。今日は絵のことが学べてとてもよかったです。ありがとうございました。次回、もっとしっかり勉強して旅行に行こうと思いました。
●卒業以来の久しぶりの世界史に話に、わくわくしました。確かにストーリーのある話は、何年たっても覚えています。説明される声のパワーにも魅入られました。今読んでる「声のサイエンス」を思い出しました。ありがとうございました。
●話が非常に面白く、昔教科書で見た絵のナゾが解けたりと、あっという間の時間でした。チョークの音が心地よく、板書がなぜかうれしかったです。イタリアに行きたくなりました。
●1点1点の作品は、知ったり観たりしたことはあるものの・・・大きな時代の流れの中の作品という事を知ることができて、とても勉強になりました。ありがとうございます。画の中の奥深さと物語を知ることができました。