2024年12月27日金曜日

寺子屋第7弾『相続を有利にする方法』、開催‼

12月21日(土)10時より、当館講堂にて標記のテーマで寺子屋を開催しました。講師は、柏原校区在住で税理士でもある福岡大学名誉教授・山内進先生です。山内先生が所属する「POT税理士法人」代表税理士・玉井英樹さんも同席して頂き、アドバイスをして頂きました。

2022年の司法統計年報によりますと、相続でもめた件数(約16000件)のうち1000万円以下の遺産でもめた件数は 全体の33.5%、1000万円超5000万円以下の遺産でもめた件数42.8%、つまり5000万円以下でもめている件数が全体の4分の3を超えています。一般に「億」超の「お金持ち」が抱える問題かと思いきや、実態はこのようで、案外「身近」な問題と言えます。

相続でもめないためには、親子間、兄弟間の日頃からの話し合いによる「コミュニケーション」が最も重要だ、と山内先生は力説されていました。とはいえ、一般的に相続でもめない方法としては、以下5点があります。

①遺言書の作成・・・【自筆証言遺言書】は、費用がかからず証人不要、内容を秘密にできるメリットありも、内容の不備による無効の可能性、偽造・紛失の危険性あり、法務局保管制度利用以外は、家裁で検認手続きが必要。【公正証書遺言】は、無効可能性はなく、偽造・隠匿・紛失の危険性もなく、家裁の検認不要のメリットに対し、公証人が関与のため手続きが繁雑、手数料がかかるうえ、公証役場で証人2人以上の立会を要します。【秘密証書遺言】内容を秘密にでき、パソコン等で文書作成が可能、ただし署名・捺印が必要で、家裁での検認と公証役場での手続き・遺言書の存在の証明のため2人以上の証人の立会が必要。ただし、その内容に不満が出された場合、無効の可能性も。

②財産分割・・・分割の仕方には、現物分割・換価分割・代償分割・共有分割があります。相続分に応じて分割するときに、現物分割では相続分通りに分けるのが困難。換価分割では、売却して現金に換えるのに時間がかかる。売り急ぐあまり買いたたかれる危険性も。共有分割は、登記を共有にするものですが、後々、不動産売却の折に売り難くなるおそれあり。代償分割は、特定の相続人が多めに財産を習得するかわりに、代償として自分の現金等で差額を支払う方法です。この場合、生命保険契約で相続の事前準備をしておくことが便利とか。

③生命保険の活用 ④相続放棄と限定承認の利用 ⑤寄与分や特別受益を考慮して財産分割

『配偶者はいつでも相続人』です。相続人が配偶者と子(複数も)のみのケースでは、2分の1ずつ、配偶者と父母のみのケースでは、配偶者3分の2、父母3分の1、配偶者と兄弟姉妹のケースでは、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1。

相続人の権利を守る規定の話では、例えば、奥様が相続開始時、ご主人所有の建物に居住していた場合、配偶者居住権を取得すれば、終身または、一定期間、その建物にそのまま無償で居住することができます。また、生前義父の事業に従事していたとか、介護の世話をしてきた等、義父に貢献してきた「亡き長男の妻」は、相続人に対して金銭請求できることになりました。

今回の講座は、相続税を巡る制度論が中心で、個別具体的なお話は殆どなくて、参加者の皆さんにとっては、平易な言葉でやさしく説明された山内先生でしたが、多くの専門用語に少しばかり戸惑いも見られたようです。とはいえ、「遺産相続」について質問があるとすれば、それこそ個別具体の内容となりますので、個別相談の場が必要で、講座形式は難しいかとも感じました。寧ろ、「相続」以前の問題として、例えば、ご家族の認知症の方等、ご本人が意思表示が困難な方の金融資産等の引き出しについて、具体的な手立てや当面する課題への解決への道筋等、実際的なお話等についても今後、検討したいと思います。





【参加者の感想・・・一部抜粋】

●今日のお話は難しかったです。頂いた資料をよく読ませて頂きます。わからないことはプロに相談することがわかりました。

●相続に関する話を聞くことは殆どありませんでした。財産らしきものもなく、あまり関係ないと考えていました。本日のお話を今後、参考にしたいと思います。(参考にするほどの財産もありませんが)

●具体的な事例を挙げながら、お話をしてくれたので、分かりやすかったです。最後には専門家に相談した方がいいのかなあと思いました。少し道筋が見えてきたので安心しました。ありがとうございました。

●妻にいかにうまく相続させるか、子ども達にいかにうまく相続させるか、これを考えてもめないようにすることが大事であると考えます。

●山内先生や玉井代表のお話を聞けて、とてもためになりました。やはり、自分一人で調べるだけではわかっているようで、難しいので勉強になりました。それから、25年ほど前、大学の時、山内先生に教えてもらっておりました。今日は、久々にお会いしてとてもうれしかったです。