公民館主催人権講座を、11月29日(金)10時より、当館講堂にて開催しました。悪天候の中にもかかわらず、多くの方々にお出でいただき、貴重なお話を受け、『いのち』について改めて学ぶことができました。
講師は、『NPO法人福岡子どもホスピスプロジェクト』理事の内藤真澄さん。お子様を小児がんで亡くされ、その間の経験から「小児がん患者のご家族を支援するためにできることはないか」との思いで、活動を始められました。現在は、小児がん患者のお子様とそのご家族を支援するための『子どもホスピスハウス』実現のため、仲間の皆さんと奮闘中です。
大人のがんは、主に臓器にできるものが圧倒的ですが、小児がん(0~15歳)の場合は、血液・骨・神経・筋肉など成長過程でできるものが多いそうです。大人の場合、「二人に一人」ががんになると言われていますが、小児がんは、年2000~2500人と大人に比して極めて少なく、世間一般には知られていないそうで、更にご家族も「言いたくない」方も少なくないとのことで、これらの事情で認知されていないという現実があるそうです。また、日本には、15万人いると言われる難病の子ども達の内、生命を脅かされる子どもの数は2万人と言われています。しかし、小児は大人よりも病状の変化が現れやすく、発症や容体の進行・悪化、治療への展開が大人と比べて急であることが多いため、実態が把握されにくく、社会課題として認知されにくいという現実もあります。また、小児がん患者のお子様で治療が見込めないとされた場合、病院の生活から自宅での生活となり、ご家族の生活は一変し、様々な困難な課題に直面することになります。このような現状の中で、ご家族は孤立していき、その支援の必要性から「子どもホスピスプロジェクト」は誕生しました。
内藤さんたちは、小児病棟には、様々な企業・団体からお子様へのプレゼントが届けられますが、付き添いのお母さん方にはないため、その支援に取りくまれたり、小児がんのこどもさんとそのご家族の希望を受けて、旅行や遊戯施設体験等の支援にも取りくまれ、やがてお子様とご家族も一緒に過ごせる「子どもホスピスハウス」実現を目標に、そのためのツールとして「レモネードスタンド」にも積極的に取りくまれています。数年前までは、横浜市・大阪市のみに民間施設があり、行政も一定支援しているとのことですが、今や北海道・愛知・佐賀・沖縄等、全国10数か所に仮設ではありますが、実現できているそうです。福岡でも、再三、行政への支援要請を重ねてきましたが、未だ実現できていません。
そこで、本格的な「子どもホスピスハウス」の実現を目標としつつも、まずは仮設であっても実在させる意味から、仮施設の実現に向けて検討を重ね、クラウドファンディングを活用して、古賀市に施設開設が実現しました。。開所式は、12月14日だそうです。
お話しの後、参加者の皆さんから、質問や体験談等が出され、内藤さんから的確な回答がなされまして、大変意義のある講演会になりました。
【参加者の感想から・・・一部抜粋】
●命に向き合うことの難しさ。大切さを感じます。子どもが大切で好きで、色んなところでかかわっています。自分の子どもも保育士として医療の現場に通い、子ども達と過ごしています。何かできることを探します。
●本日は、子どもホスピスとは?を全く知らずに来ました。ニュース等では、さら~と見過ごしたと思います。このような活動をされている施設、関係者の方々の大変さを考えますと、公民館活動として見学に行かせてもらうとか、あったらいいのでは?と思いました。大人、子ども含めて・・・本日は大切な時間でした。知れたことが本当に良かったです。
●誰一人見捨てない、とり残さないというSDGsの考えが多くの人に広まり、皆にとってよりよい社会になることの必要性を改めて知りました。NPOの立ち上げについても勉強になりました。賛助会員数、とても影響するんですね。お力になりたいと思います。
●子どもホスピス講演の機会を与えて頂きありがとうございます。私自身の姪も生きていれば45歳になります。脳腫瘍で亡くなり、今日の講演を聞き私自身、少しでも何かできればと思います。
●とても有意義なお話を聞けて、今後、何かしら少しでも寄付などさせていただきたいと思います。直接はなかなか難しいですが、応援させていただきます。
●今日のお話で小児がんについて知ることができ、4歳の息子を育てる母としては、胸の熱くなる気持ちでした。
●子どもホスピスのことを初めて知りました。闘病されている子どもさんと、そのご家族のケアが充分にできる施設が必要だと強く思いました。まずは、レモネードスタンドからやってみたいと思います。苦しい闘病の中で少しでも、家族やご本人が楽しい時間を過ごせますように心より願います。